02.15
Wed
こんばんは、水曜日記でございます。
タイトルから(えっ?洋服?)と思われた方も多いかと思いますが、“洋服” です。
ふと思い出して。
随分昔の話になりますが私、服飾の専門学校の生徒だったんです。
高3の頃にアレキサンダー・マックィーンの作品に出会い、大学進学からあっさりと、そして何も考えずに舵を切り色々ありまして今に至るわけです。
思いつきのようですが、振り返って思うのは本当に私らしい選択だったなと。
きれいなものが好き。という理由なら美大や芸術家を目指す方向もありそうですが、服飾に進んだのは自分の芸術性やセンスを良いものとして信用し続けられるハートの強さを持っていなかったことと、服が実用品であるという面で性格的にネガティブにもポジティブにもマッチした結果だなと思うんです。
ところが、入学してすぐに自分には服を作る適性がないことに気づいたんです。
びっくりですよね。今こうして書いていて自分でも引くし、あほだし、親にも申し訳ないです。
ちなみに理由は、そもそも身近な流行に興味がないこと。洋服を作る際の布の面積や、パーツ、工程の複雑さ、大きさが手に負えないなと思ったこと。のふたつでした。
書けば書くほど読む人を引かせそうですが、言い訳をしますと高校時代にすでに服は作っていたんです。
1年で20アイテム近くは作っていたんじゃないでしょうか。スカートとかバッグとか。
ただ“あるある”ですがフリーダムに作っていたので、いざきっちり作ろうとすると技術力のなさが頭で描いたデザインをどんどん奪い、消耗し、いい加減になり、自分で作ったくせに妥協に満ちた愛せないものが出来上がるわけです。
面積が広いとやり直しも、白紙に戻すのも大事(おおごと)なんです。
角度45度で【V】を描いた時に、最初の角度の僅かな揺れが末端で大きな違いになる、というようなことがまさにそう。
服飾の学校では技術以上に生きていくのに必要なことをたくさん学んだので、よかったのですが職業として活かすことはできなかったんです。
それから時が経ち最初にビーズのアクセサリーを作り始めた時に、この服飾の経験からいいなと思ったことがあって。
アクセサリーを作っている過程で(うーん、なんかこのデザインは良くないな。)と思った瞬間、ニッパーひとつで取り返しがつかない状態にできることなんです。
うだうだ、もう少し手を加えたらマシになるかもとか調整しようとしだした段階で切ってしまえる。
心を鬼にした時のワンアクションがちゃんと致命傷になってくれるというか。
あと、服よりもいろいろコンパクトにやり直しできるというのもそう。
向いているところにたどり着いたなと思っていたんです。
ちなみにこの服飾の難しさは、彫金の難しさとほとんどイコールで。
(たどり着いたな)と思った直後から、平行して一度挫折した努力をやり直すような状態に。
大人になって落ち着いたからか、楽しいと思えるところまで今回は来られてよかったです。ほんと。
いや、これはきっとというか確実に教えてくれた師匠たちの力に加えて、お客様という応援まであるという環境のおかげですね。何歳になろうが自力じゃ普通に無理です、きっと。
と、すごい長い前置きなのですが。
ここ数ヶ月ずっとこれまでと毛色の違った新作を作っています。
素材のテストをしたり変化を見たりもして、結局1年以上かかってしまっていて。
私の目には美しく見えているだけで、誰にもいいと思ってもらえないかもしれないと思いながら
心をバキバキに折りながら、本当に一切手を抜かない、そしてとても使いにくそうな、そういうものを作っているところです。
正しい、美しい、素敵、かっこいい。
どれもわからないですよね。素敵なものはたくさんあるし、みんな素敵だし。あとダサくなろうとしてなってる人なんてひとりもいないから、それが自分かもしれないですしね。
本当にわからない。
でも自分の目が美しいと思う線、正しいと思う線だけを選んで、そうでないものを排除していったら見たいものが見れるんじゃないかと信じて作っている感じです。
これまでの商品も全てよいと思うし、好きです。
でも、持っている技術の中でできることをすることの外に行くために、これまで技術を磨いてきてやっとそこに触れそうという感じがしています。
もう少しでできるかもというところなので、書いてみました。
これらができたら、もうすでに進めているシリーズなどもあるのですが軽やかなものを作っていけたらと思っています。
そう、妥協と力を抜くって似ているけどまったく違うものだなと思いますね。実感として。
あと大変とか色々抜きにして、ワックスを彫っているのが私は本当に好きですね。
永遠に新作を作っていたい。
いつも読んでくださって、そして応援してくださってありがとうございます。
ではまた来週の水曜日に。
■atmosphere peace公式ラインアカウント

オーダーメイドのご依頼や、メンテナンスのご相談などお気軽にどうぞ。対面ご予約も受け付けております。
お友達登録どうぞよろしくお願いいたします。

■atmosphere peaceでは、オーダーメイドのご依頼もお受けしております。
手順やお値段などわからないことが多いとなかなか一歩を踏み出せないというお声をいただきまして、手順等々を全部書いたページを作ってみました。

↑atmosphere peaceのオーダーメイドについて
ぜひお気軽にご相談くださいませ。
タイトルから(えっ?洋服?)と思われた方も多いかと思いますが、“洋服” です。
ふと思い出して。
随分昔の話になりますが私、服飾の専門学校の生徒だったんです。
高3の頃にアレキサンダー・マックィーンの作品に出会い、大学進学からあっさりと、そして何も考えずに舵を切り色々ありまして今に至るわけです。
思いつきのようですが、振り返って思うのは本当に私らしい選択だったなと。
きれいなものが好き。という理由なら美大や芸術家を目指す方向もありそうですが、服飾に進んだのは自分の芸術性やセンスを良いものとして信用し続けられるハートの強さを持っていなかったことと、服が実用品であるという面で性格的にネガティブにもポジティブにもマッチした結果だなと思うんです。
ところが、入学してすぐに自分には服を作る適性がないことに気づいたんです。
びっくりですよね。今こうして書いていて自分でも引くし、あほだし、親にも申し訳ないです。
ちなみに理由は、そもそも身近な流行に興味がないこと。洋服を作る際の布の面積や、パーツ、工程の複雑さ、大きさが手に負えないなと思ったこと。のふたつでした。
書けば書くほど読む人を引かせそうですが、言い訳をしますと高校時代にすでに服は作っていたんです。
1年で20アイテム近くは作っていたんじゃないでしょうか。スカートとかバッグとか。
ただ“あるある”ですがフリーダムに作っていたので、いざきっちり作ろうとすると技術力のなさが頭で描いたデザインをどんどん奪い、消耗し、いい加減になり、自分で作ったくせに妥協に満ちた愛せないものが出来上がるわけです。
面積が広いとやり直しも、白紙に戻すのも大事(おおごと)なんです。
角度45度で【V】を描いた時に、最初の角度の僅かな揺れが末端で大きな違いになる、というようなことがまさにそう。
服飾の学校では技術以上に生きていくのに必要なことをたくさん学んだので、よかったのですが職業として活かすことはできなかったんです。
それから時が経ち最初にビーズのアクセサリーを作り始めた時に、この服飾の経験からいいなと思ったことがあって。
アクセサリーを作っている過程で(うーん、なんかこのデザインは良くないな。)と思った瞬間、ニッパーひとつで取り返しがつかない状態にできることなんです。
うだうだ、もう少し手を加えたらマシになるかもとか調整しようとしだした段階で切ってしまえる。
心を鬼にした時のワンアクションがちゃんと致命傷になってくれるというか。
あと、服よりもいろいろコンパクトにやり直しできるというのもそう。
向いているところにたどり着いたなと思っていたんです。
ちなみにこの服飾の難しさは、彫金の難しさとほとんどイコールで。
(たどり着いたな)と思った直後から、平行して一度挫折した努力をやり直すような状態に。
大人になって落ち着いたからか、楽しいと思えるところまで今回は来られてよかったです。ほんと。
いや、これはきっとというか確実に教えてくれた師匠たちの力に加えて、お客様という応援まであるという環境のおかげですね。何歳になろうが自力じゃ普通に無理です、きっと。
と、すごい長い前置きなのですが。
ここ数ヶ月ずっとこれまでと毛色の違った新作を作っています。
素材のテストをしたり変化を見たりもして、結局1年以上かかってしまっていて。
私の目には美しく見えているだけで、誰にもいいと思ってもらえないかもしれないと思いながら
心をバキバキに折りながら、本当に一切手を抜かない、そしてとても使いにくそうな、そういうものを作っているところです。
正しい、美しい、素敵、かっこいい。
どれもわからないですよね。素敵なものはたくさんあるし、みんな素敵だし。あとダサくなろうとしてなってる人なんてひとりもいないから、それが自分かもしれないですしね。
本当にわからない。
でも自分の目が美しいと思う線、正しいと思う線だけを選んで、そうでないものを排除していったら見たいものが見れるんじゃないかと信じて作っている感じです。
これまでの商品も全てよいと思うし、好きです。
でも、持っている技術の中でできることをすることの外に行くために、これまで技術を磨いてきてやっとそこに触れそうという感じがしています。
もう少しでできるかもというところなので、書いてみました。
これらができたら、もうすでに進めているシリーズなどもあるのですが軽やかなものを作っていけたらと思っています。
そう、妥協と力を抜くって似ているけどまったく違うものだなと思いますね。実感として。
あと大変とか色々抜きにして、ワックスを彫っているのが私は本当に好きですね。
永遠に新作を作っていたい。
いつも読んでくださって、そして応援してくださってありがとうございます。
ではまた来週の水曜日に。
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